ラビット

ゆっくり味わいながら生活をします。子育てとお金の記録

心の闇と友情の綻び: 人間関係の脆さと社会的課題を描く

望月諒子さんの殺人者を読み終わって、なかなか気持ちの整理が必要があります。

望月諒子 『殺人者』 | 新潮社

精神的に苦しんでいる人を操る設定は悪くなく、むしろ斬新で面白かったと同時に、社会の弱者に目をかけていたところは秀逸でした。重い殺人事件を更に精神的に苦しむ人々の心の奥深くまで掘り下げ、人の孤独さに対して深い共感を得られます。孤独だからこそ他者とのつながりを維持するために犯罪を犯す様子も描かれ、人間関係の大切さが強調され、読者に人間の脆さを意識させてくれます。事件の発端が女性の嫉妬からではないかと考えられます。節子は友達の雪枝の幸せな生活に耐え切れず、久谷登という少年に協力を仕向け、雪枝の彼氏を殺す計画を実行しました。女性であるからこそ、女性心理を理解し、繊細な描写をすることができると思いますね。週刊誌や報道が言葉の遊びをどれだけするかもよく理解できました。この作品は様々な社会的な問題に直面し、事件を通してそれらを描き出しており、学びどころがたくさんありました。母親としては、「朱に交われば赤くなる」や友達の選び方が重要であり、これらの教訓を子供たちに教えなければなりません。